賃貸のエアコンが壊れた|貸主負担か自費かの分かれ道と家賃減額の方法【管理会社解説】

契約者・入居者向け|賃貸トラブルと管理会社の対応

エアコンが壊れたら、修理代は原則・貸主(大家)負担。猛暑でも我慢しなくていい。
ただし「残置物」なら自費、「放置・手入れ不足」でもあなたの負担に変わる。
そして直らない間は、家賃を下げられる。——ここまで知って初めて損をしません。

【今すぐ】夏が来る前に“試運転”しておく

これが一番のリスク回避です。6月のうちに一度、冷房でエアコンを動かしておきましょう。

  • 7〜8月は故障依頼が殺到し、修理業者が1〜2週間待ちになります。猛暑のど真ん中で壊れると、いちばん直りません
  • 早く試せば、不調を繁忙期前に申告できる=早く直り、減額交渉もしやすい
  • 「効きが弱い」「異音」「水漏れ」を感じたら、暑くなる前に管理会社へ連絡を

現場の本音:6月に「効きません」と来る入居者は、正直ありがたい。真夏の駆け込みより圧倒的に早く手配できます。得をするのは早く動いた人です。

まず確認:そのエアコンは「設備」か「残置物」か

負担が真逆になる、最初の分かれ道です。

  • 設備=大家が備え付けたもの。契約書の「設備」欄・重要事項説明書に載る → 修理は原則・貸主負担
  • 残置物=前の入居者が置いていったのを大家が撤去せず残しただけ → 大家に修理義務なし=自費

一次情報として、民法606条1項は「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と定めています。これが効くのは“設備”のとき。残置物は大家の所有物ではないため、この義務が及びません(公益財団法人不動産流通推進センターも、残置エアコンの修理義務は原則として貸主にないと整理しています)。

今すぐ契約書を確認してください。設備一覧にエアコンがあれば貸主負担で戦えます。「サービス品」「残置」とあれば自費が原則。確認せずに電話すると足元を見られます。

設備でも“自費”になる3パターン

設備エアコンでも、入居者負担になる場合があります。ここが揉めどころです。

  1. 故意・過失で壊した(掃除中にぶつけた等)
  2. 手入れを怠った——フィルター清掃をせず目詰まりさせた、不調を放置して悪化させた。これは入居者の善管注意義務(善良な管理者としての注意義務)違反とされ、自費を求められます
  3. 「修理は借主負担」とする特約がある(よほど不当でない限り有効と解されます)

逆に、経年劣化・寿命による故障は貸主負担。「古いんだから自分で」は、設備なら通りません。

現場の本音:管理会社が最初に疑うのは「ちゃんと手入れしてました?」です。フィルターが真っ黒だと、貸主負担の話が一気に崩れます。日頃の清掃と、不調の“早めの申告”が、自分を守ります。

【現場の本音】猛暑で修理が来ない時、どう動かすか

7〜8月は依頼が殺到し「順番です」で止められやすい時期です。効くのは606条の修繕義務を“記録に残る形で”突きつけること

  • LINE・メールで「○月○日にエアコン故障・使用不能。設備のため貸主負担での修理を求めます」と送る
  • 「猛暑で健康被害の恐れ」と緊急性を添える
  • 連絡日・症状をメモに残す(後の家賃減額の根拠になります)

口頭依頼は流されます。記録が、対応スピードも交渉力も変えます。

直らない間、家賃は下げられる(民法611条)

見落とされがちですが、ここが一番効きます。

一次情報として、民法611条1項は、2020年4月の改正で、賃借物の一部が使えなくなった場合、借主に落ち度がなければ家賃は「当然に減額される」と定めました(改正前は「請求できる」)。対象も「滅失」から「使用収益できない場合」へ拡大しています。

つまり「エアコンが壊れて使えない=部屋の機能の一部が損なわれた」なら、直るまでの家賃は本来下がるべきもの、という建付けです。

ただし国土交通省の対応事例集も認める通り、減額の割合・期間に明確な基準はまだありません。だから実務はこう動きます。

  • 大家・管理会社へ「使用不能の旨を通知」する(通知しないと話が始まりません)
  • 減額率・期間・方法(家賃を下げる/一定期間分を返金 等)を協議する

「修理が遅れるなら、その間の家賃は減額の対象になりますよね」——この一言を、記録の残る形で。

▼ この状況の方へ

退去時に「修理代」「原状回復費」を上乗せ請求されそうな方は、国のガイドラインで線引きを知っておくと損しません。

→ 賃貸の退去費用、払いすぎてない?国のガイドラインで自分を守る方法

もし修理がいつまでも進まない、あるいは大家・管理会社と話が決裂してしまったら、住み替えも現実的な選択肢です。複数社の見積もりを一括で比べておくと、いざという時に動きやすくなります。

よくある勘違い

  • ❌「古いエアコンは自費」→ 設備なら経年劣化は貸主負担。古さは理由になりません
  • ❌「フィルター掃除は大家がやる」→ 日常清掃は入居者。怠って壊すと自費です
  • ❌「壊れたら勝手に買い替えていい」→ 先に大家へ連絡。無断買い替えは費用を回収できないことがあります
  • ❌「残置物でも大家が直すべき」→ 原則自費。入居時の合意があれば別。契約書を確認
  • ❌「我慢するしかない」→ 家賃減額という手があります

補足として、「最近エアコンの基準が変わった」と聞いた方へ。2027年4月から省エネ基準(いわゆるエアコン2027年問題)が引き上げられますが、これはメーカーへの規制です。今使っている機器を買い替える義務はありません。古いままになりやすいのは、壊れない限り交換されにくいという貸主側の事情があるためです(この点は別記事で詳しく解説します)。

放置リスク/今日やる4ステップ

放置すると、猛暑の中で熱中症リスクを抱えたまま、減額の根拠(連絡記録)も残らず、ただ損をします。今日できることはこれだけです。

  1. 契約書で「設備」か「残置物」かを確認し、6月中に試運転
  2. 設備なら、記録の残る形で故障日・使用不能・貸主負担での修理依頼を送る
  3. 修理が遅れるなら、家賃減額の協議を申し入れる
  4. 大家と法的に揉めたら、無料の相談窓口(法テラス)も使える

▼ 次にやるべきことはこちら

知らないうちに「契約者負担」を増やさないために。やりがちな規約違反もチェックしておきましょう。

→ 賃貸でやりがちな「うっかり規約違反」一覧|知らずに損しないために

▼ 貸主側の事情も知っておくと交渉が早い

「なぜ古いまま交換されないのか」——大家・管理会社側の判断はこちら。

→ エアコン2027年問題|賃貸オーナーの交換判断と値上げ前の買い時・節税

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