水道・トイレつまりの高額請求に注意|賃貸で業者を呼ぶ前にやること【管理会社解説】

契約者・入居者向け|賃貸トラブルと管理会社の対応

「水道つまり2,980円〜」の広告を信じて呼ぶと、数十万円を請求されることがある。消費者庁が2025年に名指しで注意喚起した手口だ。そして賃貸なら、そもそも自分で業者を呼ぶ前に、管理会社へ連絡するのが正解。順番を間違えると、自腹も被害も膨らむ。

トイレや水道のトラブルは、待ったなしの緊急事態だ。焦った心理につけ込まれやすく、だからこそ高額請求の温床になっている。管理会社の現場目線で、賃貸の水回りトラブルで損をしないための正しい動き方を、国の注意喚起の内容も交えて整理する。

結論:賃貸の水回りトラブルは、業者より先に管理会社

賃貸でトイレや水道が詰まったら、ネットの格安業者に飛びつく前に、まず管理会社へ連絡する。理由は2つある。ひとつは、建物の共用部分が原因なら、費用は貸主(オーナー)負担になり得ること。もうひとつは、格安広告をうたう業者に高額請求トラブルが多発していることだ。

この順番を守るだけで、本来払わなくてよかった費用や、相場の何倍もの請求から自分を守れる。緊急だからこそ、最初のひと手間を惜しまないことが、結果的にいちばんの近道になる。

国が名指しした「格安広告→高額請求」の手口

水回りの高額請求は、個人の思い込みではなく、国の機関が繰り返し警告している社会問題だ。

  • 国民生活センター…2021年10月7日、「水回り修理・解錠・害虫駆除などの緊急対応」で事業者とトラブルにならないための注意喚起を公表
  • 消費者庁…2025年(令和7年)7月31日、ウェブ上では低額表示をしながら実際には数十万円を請求する水回りトラブル対応業者について、あらためて注意喚起

手口はどれも共通している。「水道つまり2,980円〜」「水のトラブル即解決」などと低額を大きく表示して呼び込み、現場に来てから「配管全体に問題がある」「高圧洗浄が必要」などと高額な追加作業を次々に提案し、最終的に数十万円を請求する。利用者のパニックと「今すぐ直したい」という緊急性につけ込むのが特徴だ。作業を始めてしまってから金額を告げられ、断りきれずに払ってしまうケースが後を絶たない。

賃貸ならではの落とし穴——費用は誰が負担か

賃貸には、そもそも修理費用を誰が負担するかのルールがある。ここを知らずに自己判断で動くと、払わなくてよいお金まで払うことになる。

  • 共用の配管や、経年劣化が原因 → 原則としてオーナー負担。建物の設備として貸主が直す義務がある
  • 入居者の使い方が原因(異物・大量のトイレットペーパー・油を流したなど) → 入居者負担になる

問題は、自分で勝手に高額業者を呼んで支払ってしまうと、たとえ本来はオーナー負担だったケースでも、その費用を後から取り戻すのが難しくなることだ。管理会社を通さずに進めた工事は、貸主が「そんな工事は頼んでいない」と負担を拒むこともある。だからまず管理会社に連絡し、原因の切り分けと業者の手配を任せるのが、金銭的にもいちばん得なのだ。

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水回りのトラブルで「誰が払うのか」を知っておきたい方へ。

→ 賃貸の水漏れ|払うのは誰か・保険で自腹を防ぐ方法

まず自分でできる応急処置と、やってはいけないこと

業者や管理会社に連絡する前に、被害を広げないための応急処置はしておきたい。トイレや水道があふれそうなときは、まず止水栓を閉める。トイレなら便器の後ろ、洗面台やキッチンなら収納の中に止水栓があることが多い。元栓の位置を普段から確認しておくと、いざというとき慌てずに済む。

一方で、やってはいけないのが「何度も水を流して押し流そうとする」こと。詰まったまま水を流すと、あふれて階下への水漏れという二次被害に発展しかねない。市販の道具(ラバーカップなど)で軽い詰まりが解消することもあるが、無理に力を加えて便器や配管を傷つけると、かえって高額な修理になる。自分の手に負えないと感じたら、そこで止めて連絡するのが正解だ。

管理会社に連絡がつかず、費用が自己負担と確定していて、どうしても自分で業者を手配するしかない場合は、料金を先に明示する業者を選んでください。「基本料金〇円〜」だけの広告ではなく、出張費・見積もり・キャンセル料まで無料と明記し、作業前に総額を書面で出す業者かどうかが分かれ目です。下記は出張費・見積もり・キャンセル無料を掲げる全国対応業者の一例です。

それでも自分で呼ぶとき、高額請求を避ける4つの鉄則

管理会社に連絡がつかない深夜など、どうしても自分で業者を呼ぶしかない場面もある。その場合は、消費者庁・国民生活センターが推奨する次の4点を必ず守る。

  • ①広告の低額表示をそのまま信じない…「2,980円〜」はあくまで最低料金の一例。実際の作業費とは別物だと考える
  • ②作業前に必ず書面の見積もりを取る…総額がいくらになるのかを、作業を始める前に紙かメールで出してもらう
  • ③その場で高額な追加作業を勧められても即決しない・断る…「今やらないと大変なことになる」と急かされても、一度冷静になる
  • ④困ったら消費者ホットライン「188」に相談する…全国共通の番号で、近くの消費生活センターにつながる

なお、業者が自宅に来て契約するケースは「訪問販売」に該当し、条件を満たせばクーリング・オフ(一定期間内の無条件解約)ができる場合がある。高額な請求に納得できないまま支払ってしまったあとでも、あきらめずに188へ相談してほしい。

時系列:詰まった瞬間から解決まで

実際にトラブルが起きたときの動き方を、時系列で整理しておく。①水を流さない(あふれ防止)。止水栓を閉める ②管理会社・オーナーへ連絡する。営業時間外なら、契約書に記載の緊急連絡先へ ③原因の切り分け(入居者原因か、建物原因か)を相談する ④管理会社経由で業者を手配してもらうか、自分で複数社から相見積もりを取る ⑤費用負担を確定させる。急いでいるときほど、まず①と②の順で動けば、被害も費用も最小限に抑えられる。ひとりで抱え込まず、まず管理会社という「味方」を使うのが賢い。

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水回りと並んで誤解が多いのが「火事の賠償」。もらい火は弁償されない——賃貸で知らないと詰むルールはこちら。

→ もらい火は弁償されない|賃貸の失火責任法と火災保険を管理会社が解説

よくある勘違いと、今日やること

  • 「賃貸でも水回りは自分で直すのが当然」…まず管理会社。共用部が原因なら貸主負担になる可能性が高い
  • 「格安広告の業者だから安く済むはず」…国が繰り返し注意喚起している高額請求の典型パターン
  • 「その場で契約しないと直してもらえない」…断ってよい。相見積もりを取るのが基本。急かす業者ほど警戒する
  • 「一度払ったらもう取り返せない」…訪問販売ならクーリング・オフの余地がある。188へ相談を

今日やること(予防):①管理会社・オーナーの緊急連絡先を、今スマホの連絡先に登録しておく ②自宅のトイレ・洗面・キッチンの止水栓と、部屋全体の元栓の位置を確認しておく。この2つを済ませておくだけで、いざ水回りが詰まったときの初動がまったく変わる。トラブルは、起きてから慌てるのではなく、起きる前の準備で被害が決まる。

現場でよくある相談:深夜のトイレつまりで高額請求

管理会社に寄せられる典型的な相談がこれだ。「夜中にトイレが詰まり、スマホで最初に出てきた『2,980円〜』の業者を呼んだ。来てすぐ『これは配管の奥が原因、高圧洗浄が必要』と言われ、気づけば十数万円を請求された」——というパターン。深夜で他に頼めるところもなく、あふれそうな便器を前にすれば、断りづらいのは当然だ。業者はその心理を分かっていて、あえて緊急時を狙ってくる。

もしこの人が先に管理会社の緊急連絡先を知っていれば、話は違った。多くの管理会社は提携業者を持っていて、相場どおりの料金で手配してくれる。しかも原因が建物側なら費用はオーナー負担だ。「まず管理会社」を徹底するだけで、この十数万円は丸ごと避けられた可能性が高い。緊急連絡先を今スマホに入れておくことが、そのままお金を守ることになる。

信頼できる業者の見分け方

どうしても自分で探す場合、業者選びのチェックポイントを知っておきたい。まず、水道工事には自治体が認定する「指定給水装置工事事業者」という制度がある。地域の水道局のウェブサイトで一覧を確認でき、これに登録された業者は一定の技術基準を満たしている。次に、電話やサイトの段階で「作業前に総額の見積もりを書面で出せるか」を確認する。ここを渋る業者は避けたほうがよい。

さらに、極端に安い最低料金を大きく打ち出している広告や、住所・会社名・固定電話がはっきり書かれていない業者も要注意だ。逆に、料金体系を明示し、出張費やキャンセル料の条件を事前に説明してくれる業者は信頼できる。焦って一社目に即決せず、可能なら複数社に相見積もりを取る。この「ひと手間」が、数万円から数十万円の差を生む。

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鍵の紛失・締め出しでも、まったく同じ「格安広告→高額請求」の手口があります。

→ 賃貸で鍵を紛失・締め出された時の正解|高額請求と鍵交換費用の負担

そもそも詰まらせない——日常でできる予防

高額請求のリスクを根本から減らすいちばんの方法は、詰まらせないことだ。トイレでは、一度に大量のトイレットペーパーを流さない、ティッシュペーパーや掃除シート(「流せる」と書かれていても大量は禁物)、生理用品などを流さないのが基本。キッチンでは、油や食材カスをそのまま流さず、拭き取ってから捨てる。洗面台や浴室では、髪の毛をこまめにネットで受けて排水口の詰まりを防ぐ。

こうした日々の小さな習慣が、緊急トラブルとその先の高額請求を遠ざける。特に賃貸では、入居者の不注意が原因と判断されれば費用は自己負担になる。予防は、手間がかからないうえに、いちばん確実な節約でもある。トラブルが起きてから業者を探すのではなく、起きないように暮らすこと。それが、水回りで損をしないための本当の「最初の一歩」だ。

水回りのトラブルは、誰の家でもいつか必ず起きる。そのとき、広告の安さに飛びつくのか、まず管理会社という味方を使うのか。この最初の判断ひとつで、支払う金額は何倍も変わる。今日のうちに緊急連絡先と止水栓の位置を確認しておけば、いざというとき、あなたは落ち着いて正しい順番で動ける。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別事情により対応は異なります。法的判断や具体的な対応は、必要に応じて弁護士・専門家・関係機関へご確認ください。

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