「審査の結果について理由を教えてください」「なぜ落とされたのか説明してほしい」——この手の電話は、管理会社なら必ず経験する場面だ。
問題は、対応ひとつでその後がまったく変わることにある。理由を少しでも話してしまえばそれを録音されSNSに晒される。謝りすぎれば「認めた」と受け取られ交渉の糸口を与える。電話を長引かせれば感情がエスカレートし、クレームが倍になって返ってくる。
逆に正しい対応ができれば、1〜2分で通話を終わらせ、記録を残し、次の問い合わせを来なくさせることができる。これは特別なスキルではなく、「何を言う/言わない」の判断を事前に持っているかどうかだけの差だ。
本記事では現場15年超の経験をもとに、否決後の問い合わせへの対応を完全体系化した。若手担当者の育成マニュアルとして、現場での即日使用を想定している。
- 否決後に「理由を教えてほしい」連絡が来るのはよくある話
- まず知っておく:否決後の問い合わせで絶対やってはいけないこと
- 「なぜ理由を教えないのか」——正しい根拠を担当者が持つ
- 否決の主体別で使う言葉が変わる——現場が知るべき3パターン
- 実践:パターン別の対応フローとフレーズ集
- 仲介会社経由の案件:「関係値」で対応の深さを変える
- 【現場コラム】クレームが来た申込者は、やはり落として正解だった
否決後に「理由を教えてほしい」連絡が来るのはよくある話
入居審査で否決した申込者から直接連絡が入るケースは、決して珍しくない。体感では否決案件の10〜15件に1件程度は何らかの問い合わせが発生する。特に①希望物件が強かった②引越し時期が迫っていた③自分が落ちるとは思っていなかった、の3条件が重なるほど連絡の熱量が高くなる傾向がある。
連絡の窓口は大きく2パターン。申込者が直接管理会社に電話してくるケースと、仲介会社を経由して「お客様から問い合わせが来ていて……」と仲介担当者が間に入るケースだ。後者は後述するが、対応の基本方針はほぼ同じになる。
申込者が「落ちると思っていなかった」という人ほど問い合わせの温度が高い。収入・勤続年数に自信があって落とされると、理由が腑に落ちないのは当然だ。ただしその怒りに引きずられて余計なことを話してしまうと、そこから先の対応がどんどん難しくなる。最初の1分で「この件はこれ以上何も言えません」という着地点を見せることが全てだ。
まず知っておく:否決後の問い合わせで絶対やってはいけないこと
🚫 否決後の問い合わせ|絶対NG行動4選
「なぜ理由を教えないのか」——正しい根拠を担当者が持つ
申込者から「理由を教えるのが義務じゃないですか」と言われたとき、「そういうルールなんで……」で終わらせていないか。担当者自身が根拠を理解していないと、対応に自信が持てず余計な情報を漏らすリスクが高まる。
審査理由を開示しない根拠は複数ある。
①保証会社の審査情報は保証会社の固有情報
家賃保証会社が行う審査は、保証会社が独自に収集・蓄積した信用情報データベースに基づく。このデータは保証会社の業務上の財産であり、管理会社には開示されない場合も多い。管理会社は「否決」という結果しか知らないケースが大半で、理由の詳細を伝えようにも伝えられない構造になっている。
②個人情報保護法上の問題
審査理由の中には申込者本人の信用情報(滞納履歴・借入状況など)が含まれる場合がある。これを第三者(仲介会社を含む)に開示することは個人情報保護法上のリスクを伴う。
③理由開示義務は法律上存在しない
宅地建物取引業法において、入居審査の結果についての理由開示義務は規定されていない。管理会社・オーナーは「貸す・貸さない」の判断権を持ち、合理的な理由がある限り拒否は適法だ(ただし人種・信条・性別・社会的身分・門地による差別的拒否は住宅確保要配慮者に関する制度・条例等の観点から問題となり得る)。
「総合的な判断」という言葉は使い古されているように見えて、実は最強のフレーズだ。理由が「保証会社否決」だったとしても、「保証会社に落ちました」と言う必要はない。「弊社の審査基準に基づく総合的な判断でございます」の一言で、理由の開示もなく相手の不満も封じることができる。担当者はこれを武器として持っておく必要がある。
否決の主体別で使う言葉が変わる——現場が知るべき3パターン
否決の判断がどこで行われたかによって、使うべき言葉はやや変わる。重要なのは「主体を特定させない」ことだ。
| 否決の主体 | 推奨フレーズ | 避けるべき表現 |
|---|---|---|
| 保証会社否決 | 「弊社審査基準による総合的な判断です」 | 「保証会社の審査で落ちました」「保証会社に聞いてください」 |
| 管理会社判断 | 「弊社の審査基準に照らした総合判断です」 | 「収入が基準を下回っていました」「過去の履歴に問題がありました」 |
| オーナー判断 | 「弊社を通じた審査の結果として、ご入居いただけない判断となりました」 | 「大家さんが嫌だと言っていました」「オーナーの意向です」 |
特にオーナー判断の場合に「大家さんが……」と言ってしまうケースが現場では多い。これはオーナー情報の漏えいであり、申込者が直接オーナーに連絡してくるという二次トラブルの原因になる。オーナー情報は申込者に存在すら明かさないのが原則だ。
実践:パターン別の対応フローとフレーズ集
パターン①「なぜ落ちたのか理由を教えてほしい」
最も多い問い合わせパターン。感情の温度はさまざまだが、「理由が知りたい」というシンプルな要求が主軸になっている。
「このたびはお申込みいただきありがとうございました。誠に恐れ入りますが、審査の詳細につきましては弊社の審査基準に基づく総合的な判断となっており、個別の理由についてはお答えする立場にございません。ご了承いただけますと幸いです」
「収入面で少し厳しかったようで……」「保証会社のほうで引っかかったみたいです」「大家さんが慎重な方で……」
パターン②「再審査をしてほしい、条件を変える」
「保証人を追加する」「別の保証会社に変えてほしい」「家賃を下げる」など、条件変更で再審査を求めてくるケース。基本的に一度否決した案件を覆すことは難しい。ただし例外がある。
例外ケース:息子(主契約者)否決→父親(代理契約)での再申込
否決になった本人名義での再審査は受けないのが原則だ。親族を主契約者とする代理契約に組み替えての申込は、形式上は別案件として扱える場合がある。
ただし、実際に居住するのは息子本人という点が重要だ。契約者が変わっても部屋に住む人間が変わらない以上、入居後のリスクは変わらない。特に以下のようなケースは代理契約でも否決を維持する判断が現場では多い。
- 否決後に感情的なクレーム・罵倒があった(STEP2〜3相当の言動)
- 申込段階でクレーム気質が見受けられた(内見時の態度・交渉の仕方等)
- うつ病・精神疾患等が申告または推察される場合(入居後の近隣トラブル・管理会社への過度な問い合わせリスク)
「契約者=父親、居住者=息子」という構造で審査を通した場合でも、入居後のトラブル対応はすべて管理会社が引き受けることになる。「父親は問題ない人だから」という判断だけで通してしまうと、現場が後から苦労する典型パターンだ。審査は「誰が住むか」で判断するという原則に立ち返ることが重要だ。
「一度確定した審査結果の変更は、弊社の対応範囲では難しい状況でございます。引き続きお部屋探しをご検討されるのであれば、改めてお声がけいただければと思います」
パターン③「上司を出せ」と言われた
審査結果への不満が「この担当者では話にならない」という形に変わったケース。上司対応を求めること自体は珍しくないが、この要求に安易に応じると「上司ならひっくり返せる」という誤ったメッセージを与えてしまう。
「ご要望はお伝えすることはできますが、審査結果は弊社として組織的に判断しておりますので、担当が変わっても結論は変わりません。引き続き弊社にてご対応させていただきます」
上司が電話に出る場合も、「上司が出てきたから話が変わった」と思われないよう、上司も同じフレーズで返すことが重要だ。事前の情報共有と対応統一を必ず行う。
パターン④「今まで審査に落ちたことは一度もない」
過去に審査を通過してきた実績を根拠として「おかしい」と主張するパターン。気持ちはわかるが、各物件・各管理会社の審査基準はそれぞれ異なり、過去の通過実績は今回の審査に影響しない。この点を明確に伝える必要がある。
「審査基準は物件・管理会社によって異なります。過去の審査状況は今回の判断には直接影響いたしません。今回の弊社の基準に照らした総合的な判断となっております」
パターン⑤ クレーム・威圧的な連絡(STEP3判断)
「差別だ」「訴える」「国土交通省に相談する」等の発言、罵倒・長時間拘束が始まったケース。これはカスタマーハラスメントの領域であり、対応継続の義務はない。目標は「冷静にさせること」ではなく「その場で終わらせること」だ。
「大変申し訳ございませんが、これ以上の対応は弊社の対応範囲を超えると判断しております。本日はこれで失礼いたします」——そのまま電話を切る。
通話終了後、メール・書面等での追加対応は行わない。着信があっても出ない判断もあり得る。弁護士名義の内容証明郵便が届いた場合のみ顧問弁護士に相談のうえ対応する。
仲介会社経由の案件:「関係値」で対応の深さを変える
申込者が仲介会社を経由してきた場合、管理会社の直接の相手方は仲介担当者になる。この対応は、仲介会社との関係値によって大きく変わる。
関係が深い仲介会社の場合
日常的に案件を紹介し合う関係の仲介会社であれば、申込者の興奮を収める役割を担ってもらえるよう「協力依頼」の形で動いてもらう。管理会社から「お客様に状況をご説明いただけると助かります」と伝えることで、仲介担当者が申込者をなだめる動きをとってくれる。これが最も早く・丸く収まる対応だ。
「審査結果については総合判断ということでご説明いただければ幸いです。弊社からお伝えできる情報に限りがありますので、ご協力いただけると助かります」
関係が薄い・初回取引の仲介会社の場合
普段ほとんど取引のない仲介会社の場合、申込者を抑えることを期待するのは難しい。対応はあくまで標準フレーズで淡々と返す。
ここで重要なのは、力関係の実態だ。「関係が薄いから放置でもいい」ではなく、むしろ管理会社側が申込を受けにくくなる権限を持っているということを理解しておく必要がある。否決後にクレームを放置・助長するような対応をとった仲介会社からの申込は、次回以降「受けない」「受けにくい」という判断につながる。申込者への対応を誤って炎上させた仲介会社が業界内で信用を失うのも同様だ。
管理会社が毅然とした標準対応を維持することは、自社を守るだけでなく「この管理会社とは丁寧に仕事をしなければならない」という業界内のシグナルになる。
仲介会社との関係は長期戦だ。今回の案件で態度を硬化させた仲介担当者が、次の繁忙期に自社管理物件を優先的に紹介してくれる可能性はゼロに近くなる。否決後の問い合わせ対応は「申込者への対応」であると同時に「仲介業者との関係維持」の場でもある。
【現場コラム】クレームが来た申込者は、やはり落として正解だった
📝 管理会社担当者が経験する「審査眼の正当化」
否決の連絡をした後、申込者から感情的なクレームの電話が来ることがある。長時間の罵倒、「差別だ」という主張、「絶対に入居してみせる」という宣言——。
この瞬間、現場の担当者は思う。「やっぱり落として正解だったな」と。
入居審査は書類だけで人を判断するものではない。内見時の態度、問い合わせ時の言葉遣い、申込書の記入の丁寧さ——これらの「非公式な印象情報」が、担当者の判断に影響していることは業界では広く知られている。否決後に感情的になって罵倒してくる人物が入居した場合を想像すると、近隣住民や管理会社との関係がどうなるかはほぼ予想がつく。
「落として良かった」と思う場面が来たとき、担当者はその経験を次の審査眼に活かすべきだ。審査の精度は、こうした経験の積み重ねで上がっていく。
なお、否決後のクレーム内容は対応ログに必ず残しておく。同一人物が別物件に申し込んできた際の判断材料になる。
電話を長引かせない:STEP別の対応方針
対応方針はSTEPによって明確に変わる。STEP1〜2では早期に通話を締め、STEP3ではその場で電話を終了する。メール・書面での追加対応は申込者から希望されても断るのが原則だ。
なぜ断るのか。理由は2つある。①文書として残ることで案件が長期化し、より複雑な交渉に発展しやすくなる、②「書面でやりとりできる窓口がある」と認識されると次の要求のきっかけを与える。電話で完結させ、記録は管理会社側だけが持つという構造が最も安全だ。
| フェーズ | 電話での対応 | メール・書面希望への返答 |
|---|---|---|
| STEP1 単純質問 |
標準フレーズで返答・1〜2分で終話 | 「弊社は電話でのご対応のみとなっております」と断る |
| STEP2 要求・交渉 |
「結論は変わらない」を伝え早期終話。上司に共有 | 断る。返答しない |
| STEP3 威圧・反復 |
カスハラ判断 → 即通話終了 | 一切対応しない。弁護士名義の内容証明のみ例外 |
「書面で来たから返事しないといけない」と思っている担当者は多い。しかし申込者からのメール・手紙に返答することは、案件を「継続中」にする行為だ。一度返答すれば次の返答を求められ、やりとりが重なるほど交渉の材料が増えていく。電話で完結、以後対応なし——このラインを社内で統一しておくことが担当者を守る最大の防御策になる。
管理会社が知っておくべきカスハラの法的根拠——条例・法律の最新動向
「電話を切っていいのか」「対応を打ち切っていいのか」——この判断に迷う担当者が多い理由は、法的根拠を持っていないからだ。2025年以降、カスハラに関する法的整備が急速に進んでいる。管理会社の現場担当者として、最低限の知識を持っておく必要がある。
①東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(2025年4月1日施行)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(令和6年東京都条例第140号) |
| 制定・施行 | 2024年10月4日制定・2025年4月1日施行(全国初) |
| 対象 | 都内で事業を行う全事業者・就業者・顧客等(BtoB・BtoC問わず) |
| カスハラの定義(第2条) | 「顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為(暴行、脅迫その他の違法な行為又は正当な理由がない過度な要求)であって、就業環境を害するもの」 |
| 禁止規定(第4条) | 「何人も、あらゆる場において、カスタマーハラスメントを行ってはならない」と明記 |
| 事業者の責務(第14条) | カスハラ防止のため、手引の作成等の必要な措置を行うよう努めなければならない |
| 罰則 | 現時点では罰則規定なし。ただし条例上「違法」と明記されたことに意義がある |
罰則がないため「実害はない」と思いがちだが、「カスハラは違法である」という根拠が条例に明記されたことの意味は大きい。管理会社が電話を終了したり対応を打ち切ったりする行為は、条例の趣旨に沿った正当な対応として位置づけられる。
②具体的なカスハラ行為の例(条例・ガイドラインより)
条例および2024年12月策定のガイドラインでは、以下がカスハラに該当するとされている。不動産管理の現場に直結する行為を中心に挙げる。
・担当者への長時間の電話拘束・繰り返し電話
・「クビにしろ」「謝罪に来い」など社会通念を逸脱した要求
・「SNSに晒す」「行政に通報する」など威迫を伴う発言
・罵倒・人格否定・差別的言動
・正当な理由のない過度な要求の反復
📌「長時間拘束」に具体的な分数の定義はない——実務的な判断基準
東京都条例・ガイドライン・厚労省マニュアルいずれにも「○分以上=カスハラ」という数値基準は設けられていない。これは意図的な設計で、「基準時間未満なら何を言ってもいい」という抜け穴を防ぐためだ。
判断基準は「社会通念上不相当かどうか」という総合評価になる。実務上は以下のいずれかに該当すれば長時間拘束と判断して通話終了を判断してよい。
- 同じ要求・主張が繰り返され、対話が進展しない状態が続いている
- 担当者が「これ以上お伝えできることがない」と伝えた後も電話を切らせてもらえない
- 担当者が精神的苦痛・恐怖・疲弊を感じ始めた時点
分数よりも「担当者が対応継続を不可能と感じた時点」が実質的な判断基準だ。この判断を個人に委ねず、「○回同じ説明をしたら終了してよい」「上司に報告したら終了権限を持てる」等の社内ルール化が推奨されている(東京都ガイドライン・各団体共通マニュアル、2025年3月策定)。
審査否決後の問い合わせで「SNSに書くぞ」「国土交通省に言う」という発言は、条例上のカスハラ(威迫を伴う要求)に該当し得る。「それはご自身のご判断です」と冷静に返してそのまま通話を終了する判断は、条例の趣旨に完全に合致している。担当者は「条例が後ろ盾になっている」という認識を持って毅然と対応すればいい。
③全国への波及と国の法改正動向
東京都条例を皮切りに、カスハラ規制は全国に急速に広まっている。
| 動向 | 内容 |
|---|---|
| 他自治体条例 | 北海道・群馬県・三重県桑名市等が東京都と同日(2025年4月1日)に条例施行。他の都道府県・市区町村でも制定議論が活発化 |
| 国の法改正(2025年3月) | 政府が労働施策総合推進法の改正案を閣議決定・国会提出。企業へのカスハラ対策義務化(対応方針の明確化・周知・相談窓口設置等)を法律レベルで義務付ける内容 |
| 厚労省マニュアル | 「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(2022年公表)が既存の指針として機能。著しく不当な要求や長時間拘束は対応義務の範囲外と明示 |
カスハラ対策は東京都内の企業だけの問題ではなくなっている。全国の不動産管理会社においても、社内対応マニュアルの整備・担当者への研修・電話終了の判断基準の明文化が急務となっている。
カスハラ化の3段階を見極め、社内エスカレーションのタイミングを逃さない
STEP2に入った時点で必ず上司に状況を共有しておく。STEP3に至った場合はカスタマーハラスメントと判断し、その場で通話を終了する。これは担当者個人の判断ではなく、会社としての方針として明文化しておくことが重要だ。
「大変申し訳ございませんが、これ以上の対応は弊社の業務範囲を超えると判断しております。本日はこれで失礼いたします」
——そのまま電話を切る。
「もう少しお聞きします」と粘る/謝り続ける/感情に引っ張られて言い訳をする。STEP3に入ったら対話で解決しようとしないことが最大のルールだ。
「電話を切っていいのか」と躊躇する担当者は多い。しかし罵倒や長時間拘束は2025年4月施行の東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(令和6年東京都条例第140号)で明確に「違法」と位置づけられた行為だ。同条例第4条は「何人も、あらゆる場において、カスタマーハラスメントを行ってはならない」と明記している。電話を終了する判断は担当者個人の逃げではなく、条例の趣旨に沿った正当な対応だ。担当者を守るためにも、電話終了の権限は管理職が事前に明示して与えておくべきだ。
STEP3以降:メール・書面対応も受けない
電話を終了した後、メールや手紙で問い合わせが来た場合も原則として返答しないのが弊社の方針だ。理由は明確で、「電話で終わらせた案件にわざわざ文書で返答する」という行為が、申込者に「対応窓口がある」という誤ったシグナルを与えるからだ。
ただし弁護士名義の内容証明郵便が届いた場合は例外で、必ず顧問弁護士に相談のうえ対応する。弁護士対応と一般クレーム対応は切り分けることが重要だ。
対応ログの残し方——あとで必ず役に立つ記録術
否決後の問い合わせは、その場で終わっても記録を残しておくべきだ。理由は3つある。①同一人物が別物件に申込んだ際の判断材料になる、②万一訴訟・行政相談に発展した際の証拠になる、③担当者が引き継いだ際の申し送りになる。
| 記録項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
| 日時 | 2025年10月15日(水)14:32〜14:38 |
| 連絡手段 | 電話(着信) |
| 連絡者 | 申込者本人 / 仲介会社○○担当者経由 |
| 主な要求内容 | 審査理由の開示要求。「収入が十分なのになぜ落ちるのか」との主張 |
| 当社の対応 | 「総合的な判断のため詳細はお答えできない」旨を説明。書面での問い合わせを案内。 |
| 申込者の反応 | 「納得できない」と強い口調で繰り返した後、通話終了 |
| 対応担当者 | ○○(管理部) |
| 特記事項 | 感情的な言動があり。同一人物が再申込の場合は要注意。 |
よくある質問Q&A
まとめ:否決後の問い合わせは「1分で着地させる」を目標に
審査否決後の問い合わせ対応で押さえるべきポイントを整理する。
- 理由は「総合的な判断」の一言で完結させる。具体的な言及は一切しない
- 謝罪は最小限。「お申込みいただいたことへの感謝」で代替する
- 電話は長引かせない。STEP1〜2は早期終話、STEP3はその場で電話を切る
- 「上司を出せ」には「組織としての判断のため結論は変わらない」と返す
- 仲介会社経由の案件は、関係の深さに応じて仲介担当者に協力依頼する
- クレームが来た申込者は「やはり落として正解だった」という確認の機会でもある
- 対応内容は必ずログに残す。後のトラブル対応・再申込判断の根拠になる
- STEP2で上司共有。STEP3(罵倒・長時間拘束・反復)はカスハラ判断 → 即通話終了
- STEP3以降はメール・書面でも返答しない。弁護士名義の内容証明のみ例外
否決の連絡を「終わり」と思っている担当者は多い。しかし実際は、否決通知の後に来る問い合わせへの対応こそが、管理会社としての信頼性と担当者のスキルが問われる場面だ。本記事のフレーズ集を参考に、次の電話に備えてほしい。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が管理会社の現場業務の一助になれば幸いです。
引き続き、実務に使える情報をお届けしていきます。
🏢 管理会社の本音
審査否決後の対応について、あなたの現場での経験やお悩みをコメントで教えてください。「うちの会社ではこう対応している」「こんなケースで困った」など、匿名でも大歓迎です。記事の内容に活かします。
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